(──あなたがそう言った瞬間、万次郎は目を見開き、その場に座り込んでしまった)
(慌てて近くに駆け寄れば、グズグスと鼻を鳴らす音が聞こえてくる。伸ばしかけた手をそのままに固まってしまったあなたの隣で、万次郎は涙を溢しながら笑っていた)

ははっ。……ウン、そっか。覚えてたんだ。
その展開は考えてなかった。
あーあ、ダッセェの、オレ。
……あのさ、○○さん。オレも話したいことがあるんだ。
長くなるけど聞いてくれる?
(あなたは小さく頷き、万次郎の横に肩を並べて座り込むと、今度こそゆっくりと手を伸ばし、その柔らかな髪を撫でた)
(万次郎の心が、少しでも軽くなることを願って)
(その日は月が昇るまで、二人で一日中話をした)