名前:佐野万次郎

マイキーの頭を181回なでなでした

もふもふ

ウマー♡

見ろよコレ、すげぇホイップたっぷり♡
オレ甘いの好きー♡


(……佐野くんの胃袋を舐めていた)


(店内に引きずり込まれてから既に1時間。看板名物の『カップルパフェ』を半分ずつ食べ終えてようやく解放されるかと思えば、さらにパンケーキを追加されて目を剥いた。自分ならフライドポテト一択だというのに、甘い物に甘い物。甘党にもほどがある)

(もはや嫌がらせの域で盛られているホイップクリームをフォークで掬い、嬉しそうに口の中へと運ぶ佐野くんを、頬杖をつきながらぼんやりと眺める。口の端にちょんとクリームを付けて幸せそうに笑っている佐野くんは、どこからどう見ても普通の男の子だ。……渋谷を仕切っている暴走族の総長にはとても見えない)


(……それにしても、今日は妙にご機嫌らしい。何か良い事でもあったのだろうか?)


△△も食べる?
おいしーよ。
ホラ、あーん♡


(……間接キスかぁ。ぼんやりそう思いながら、差し出されたフォークに突き刺してあるパンケーキを齧り取る。口に入れたそれは、フワフワしていて美味しかった。ラズベリーソースがかかっているおかげで、ホイップの甘さが軽減されている。確かにこれなら食べやすいかもしれない。佐野くんの機嫌の理由が分かった気がする)


そーだ。ずっと聞きたかったんだけど、△△の家ってどこら辺なン?
ガッコーの近く?
気が向いた時に迎えに行っていい?そんで一緒に登校しよーよ♡
休みの日に遊びとか行くしー。


(…………。少しだけ悩んだあと、自分の家の住所を教えてやった。くれぐれもバイクでは来ないでくれと念を押せばちょっと不満そうな顔をされたが、そこだけは譲れなかった。……不良が乗るバイクは何故かどれもこれもエンジン音がうるさいので。「アレがいーんじゃん!」と反論されたが、それだけは永遠に分かり合えないだろう。これが不良とカタギの差である)