(──空が夕暮れ色に染まる)
(きれいだなぁと部屋の窓から眺めていると、楽しそうにはしゃぎながら帰り道を行く中学生の姿が目に入った。……懐かしい。自分にもそんな時代があったものだ)
(忘れもしない中学3年生の春。あなたは事故に遭い、3ヶ月ほど入院したことがある。意識不明の重体からここまで回復し、無事に生活を送れているのは奇跡とも言えるだろう)
(ベッドの上で、とても長い夢を見ていた。あなたは夕日に目を細めながら、当時のことを思い出す)
(知らない学校。知らないクラスメイト。あなたは何故か覚えのない学校に通っていた。隣の席の男の子は授業中にいつも眠っていた気がする。綺麗な髪が風に吹かれてふわふわと揺れる彼の姿を、肘をつきながらぼんやりと眺めるのが好きだった)
(ふぁ、と欠伸を漏らす。今日は朝早かったから、すっかり眠くなってしまった)
(仮眠を取るために、あなたはカーテンを閉めベッドの中に潜り込む。そのまま目覚ましをセットしようと時計に手を伸ばそうとして───意識があるのは、そこまでだった)
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