名前:佐野万次郎

マイキーの頭を181回なでなでした

もふもふ

(──鳥の囀りが聞こえる)


(急に意識が覚醒し、勢いのまま体を起こす。……此処はどこだろう?)

(慌てて周りを見渡しているうちに、ふと自分が布団に寝かされていることに気付いた。……誰かが助けてくれたのだろうか?)


(見る限り、簡素な小屋の中のようだ。ほんの6畳ほどの板の間の部屋に、木で出来た窓と扉が一つ。誰かが住んでいるとは思えないほど何も無い。……よく見ればこの布団も新品だ)

(ますます訳が分からなくなり混乱していたところで、ギィ、と軋む音を立てながら、古ぼけた扉がゆっくりと開いた)




……あ、起きてる。
意外と早かったな。


(…………。そこに立っていた少年の頭には、紛れもなく獣の耳が生えていた)

(ケモ耳。あんぐりと口を開けたままのあなたを相手に、少年は呆れた顔をして小屋の中へと入ってくる。その間にも耳はピコピコ揺れていて、よく見れば背後にはもふもふの尻尾が生えていた。……狐だろうか?)


ほらメシ。人間は炊いた米がいいんだろ。
作ってやったんだから残さず食え。


(少年が持っていたおにぎりのような物を問答無用で口に目掛けて詰め込まれた。……少し芯のある、癖の強いおにぎりだった)