………なんで。
(──月明かりに照らされて、ピンクゴールドの髪が揺れる。佐野万次郎は無表情のまま、地面に倒れ伏して動かない、名前も知らぬ同い年の少年を見つめていた)
(目の前の少年が幼馴染に肩を抱かれていた。ただそれだけのことに、"衝動"が抑えられなかった。おそらく喧嘩もしたことがないであろう少年が、万次郎の相手になるはずもない。たった一発蹴りを喰らっただけで動かなくなった彼の背中を、万次郎は容赦なく踏みつける)
なんで?
(万次郎の問いに気絶した少年は答えない。その事実にますます苛立ち、万次郎は少年の横腹を蹴り上げた)
オレのモンに手ぇ出すなよ。アイツはオレが見つけたんだ。
だからずっと、オレだけのモンだ。
次にアイツのダチのツラしたら殺す。
聞こえてんだろ?
なぁ。
オレは忠告したからな?
(───次の日から、クラスメイトは学校に来なくなった)