………バカじゃねーの。
(ボソッと呟く青年を無視して、彼の左腕を掴んだまま歩き出す。……会ったばかりの相手のはずなのに、なんとなく、一人にしてはいけない気がした)
(予想外にも青年はご飯を奢ってくれ、自らを黒川イザナと名乗った。自分に声をかけたのは、本当に好奇心から来るものだけだったらしい。何やら彼は万次郎のことを敵視しているようだったが、その理由を話すつもりは無いらしかった。ただ自分のことは万次郎には決して言うなと口止めされた。……よく分からないが、自分の存在がバレると困るようだ)
(あなたは素直に頷き、当然のようにケータイを取り出し、連絡先を教えてくれと頼んでみた。少し嫌そうな顔をしながらも、赤外線通信で送られてきた青年の名前を確認する。下の名前はカタカナで書くらしい。その外見からして、やはりどこかの国とのハーフのようだ。机に肘をつき綺麗な目だなぁとぼんやり眺めていれば、杏仁豆腐を食べていた黒川イザナに、あんまり見るなと睨まれた)
(それからあなたは、黒川イザナとたまに会うようになった)
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