名前:佐野万次郎

マイキーの頭を181回なでなでした

もふもふ

○○、起きろよ。
いつまで寝てんの?


(柔らかな声音があなたの意識を浮上させる。微睡みの中でそっと瞼を押し上げれば、そこには優しい顔をして微笑む万次郎の姿があった)


おはよ。……よく眠れたみたいで良かったね。
今日もいい天気だよ。一緒に散歩、行くんでしょ?


(窓から差し込む朝日に目を細めながら、ゆっくりと上半身を起こして伸びをする。あなたが万次郎と暮らすようになってから、既に十日が経った)

(今日も当たり前のように用意されたおにぎりを頬張り、当たり前のように万次郎が用意してくれた服に腕を通し、当たり前のように万次郎の側に居る。足の怪我は完全に治り、いつでも出て行けるのに、なんとなく、帰るのが惜しい。そう思ってしまう自分がいた。……どうやらすっかり万次郎に絆されてしまったようだ。この狐の妖怪をどうすれば家に持ち帰ることが出来るのだろう。自分勝手な事だと分かってはいたが、あなたは最近、そればかりを考えていた)


(無意識に黙り込んでしまったあなたの頬を、万次郎がつんと突く。少年のような外見のくせに、その手の大きさはあなたとほぼ変わらない。ハッとして顔を上げれば、クスクスと笑われてしまった。……考えすぎて変な顔になっていたらしい)


なぁに、考えごと?
悩みあんならオレが聞くけど?


(そう言って、万次郎の右手が優しくあなたの頬を撫でる。──それだけの行為が、やけに蠱惑的に思えてしまうのは何故だろう)

(妙な色気にドキドキしながらも、大丈夫だと首を振る。それに納得したのか「ふぅん?」と小さく返して、何故かぐっと距離を詰めてきた)


………フフ。○○ってもしかして意外とウブなん?
カワイーとこあるんだネ♡


(……からかわれたようだ)