薫「単刀直入にお伺いします、詩織ちゃんと…その…関係を持っていますよね?」
言うまでもなく、関係とは男女の関係のことだ
ただもしそれを言ってしまえばこの男は否定するだろう
単刀直入にと確信を突きつつ、言葉を濁し動揺を誘う
正直に言えば、
【あの時】に声をかけていれば良かったと思う、けれど唇を交わす音だなんて曖昧なもので詩織ちゃんを問い詰めるわけにはいかない
何よりあの時は私自身がきっと何かの聞き間違いだと、そう思いたくて逃げてしまったんだ
だけどもう逃げない、もう逃がさない
薫「無言は肯定の証、ですよ?」
とは言え肯定できるはずがない
自身の娘と関係を持っているだなんてバレたら一発アウト、社会的な意味でこの男の人生は終わってしまう
ただ、この男がどうなろうが私は何とも思わないけれど、詩織ちゃんにとっては大切な、大好きな、唯一の家族であることには変わりないのだから…。
もしこの男が捕まりでもすれば詩織ちゃんはきっと…。
どうせなら否定して貰えれば………ッ…!
私は今自分が考えてしまったことに驚愕する
否定して貰えれば?それじゃ何も変わらない…!私は何のために意を決してここまで来たんだ!
けど…もしこのまま問い詰めて肯定されたら詩織ちゃんは……私は……どうすれば……。
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