遅かったな、◯◯



(夜。家に帰りつきドアノブに鍵を差し込もうとしたちょうどその時、暗がりから弔くんが現れた)
(驚いて思わず声を上げそうになったところを片手で口を塞がれる。小指を浮かせた状態なのにあっさりと顔を覆われた……大きな手だ)


静かにしろよ
見られちゃ困るのはお互い様だろ?


(玄関先で黒ずくめの男に口を塞がれている光景を見られたら、間違いなく通報されてしまうだろう)
(慌てて鍵を開けて弔くんを招き入れた)







腹減った
なんか食わせろ


(我が物顔で家に上がり込んだ弔くんは、普段アジトで見る姿と同じくどっかりとソファに座り込んでいる)
(王様だ……)

(勝手にTVをつけて興味もなさそうな顔で観ている弔くんを置いて、夕食を用意しようとキッチンに向かった)



暫く訪ねて行かない