は?
おい…

(弔くんへ向けられたヒーローの攻撃に、考えるより先に体が動いてしまった)
(庇うように前に出ると、背後の弔くんからも、目の前のヒーローからも困惑の声が上がる)



(そう思ったのも束の間)
(後ろから伸びて来た弔くんの腕に抱えられて、私たちは垂直に飛んだ。ヒーローは私に攻撃が当たらないようにしたことで体制を崩している。そのまま、弔くんはヒーローの腕を掴んで崩壊させた)



荼毘「良い盾を持ってンなぁリーダー!ヒーロー相手にはこれ以上ないほど効果的だ!」

トゥワイス「バカ言うな!!天才か!?危ないから下がってろよ◯◯ちゃん!」

トガ「弔くん、◯◯ちゃんと離れてていいですよ。片腕のヒーローさん、私たちで片付けます」


……ああ、任せた
行くぞ◯◯

(荼毘にそんな意図があったのかは分からないが、蒼炎は私と弔くんをヒーローから分断している。この場を離れても追跡されないだろう)
(弔くんは私を抱えたまま戦線を離脱した)









……◯◯
おまえなんで、

…俺があんな奴にやられるわけないだろ
避けられなかったんじゃない、避ける必要がないから動かなかったんだ
おまえが前に出て庇う必要なんてなかったんだよ


……なんで、


(足を止めた弔くんに地面に降ろされた。膝に力が入らずそのままへたり込んでしまう。全身が震えていた。私のせいで片腕を失ったヒーローは、きっと皆に殺されてしまうだろう)

(弔くんの紅い眼には困惑が滲んでいる)


◯◯、おまえは……






トゥワイス「いたいた!おい◯◯ちゃん!ダメだろあんな危ないことしちゃ!そりゃ気持ちは分かるけどよォ、死柄木なら心配いらねェって!◯◯ちゃんより強いんだから!おまえらはどっちもザコだぜ!!」

荼毘「次も頼むぜ◯◯、お陰で楽にカタがついた」

トガ「最低です。◯◯ちゃんを盾にしないと勝つ自信ないんですか?」

荼毘「黙ってろ、殺すぞ」


(あっという間に皆が帰って来た)
(私を助けようとしたあの人は死んでしまっただろう。皆は何も言わなかったし、私も何も聞かなかった)

(トゥワイスにお説教されながらアジトへ戻ると、話を聞いたコンプレスとスピナーにも叱られてしまった)
(弔くんはその間ほとんど何も喋らなかった。私の手を掴んだままどこかぼんやりしている)

庇う