………。
(床に倒れるあなたの上に覆い被さり左胸に爪を突き当てられた)
驕るな、騙すな、見え透いている……と言ったハズだが。
つまらん事で人の虚を衝こうとするのだな。
オレを騙せたら満足するのか?
戦いから逃げるのか? 何の為にオレを喚んだ?
見え透いた無意味な謀略に苛立つのと共にオマエのその臆病にも苛立つ。
(じりじりと爪が胸に刺さる…電撃の走るような痛みが身体に走る。
恐らくその爪は皮膚を破り、血に濡れているのだろう。息が荒れる。生命体としての危機が脳に警笛を鳴らす。
──死ぬ、かもしれない)
たとえ真似事であろうと、逃げるような真似は許さない。マスター。
次はない。────いいな?
(反射的にこくこくと頷く姿を見たテスカトリポカはこちらを解放した。
辺りを見渡すとそれは跡形もなく、ただ煙草の香りだけが淡く香っていた)
死んだふり