(夕暮れの実を摘んだ帰り道、この付近にはいない筈の大型ヒルチャールに遭遇してしまった)

(ヒルチャールの咆哮に足が竦み、こちら目掛けて振り下ろされる拳に反射的に目を瞑る)

…失せろ雑魚共が

(いつまで経っても来ない痛みに恐る恐る目を開けると既にヒルチャールの姿はなく、修験者の格好をした少年が背を向けて立っている)

(助けてくれた事にお礼を言うと、何も言わず一瞥して立ち去ってしまった)

(名前も知らない彼にまた会えるだろうか)

放浪者