(全身の力が抜けて地面に倒れ込む)
(目の前の憎い男は背筋が凍るほど冷たい顔をしていた)
(悪あがきなのは分かっているが、少しでも何かできることがないかと地面を這う)
(男に背を向けて懐から武器を取り出そうとした)

諦めが悪いなぁ　もうお前にできることはねえよ
あとは死ぬだけ...

(横腹に蹴りを入れられ地面に倒れ伏せる)
(指先が痺れてとうとう何もできなくなってしまう)

あーあ...復讐だっけ？あんたがやりたかったこと
家族を失った敵討ちねえ　綺麗な物語を見せつけてくれやがって
オレはそういう綺麗なもんを見ると　戻れないくらい汚して壊して、駄目にしてやりたくなるんだよ
逃げ場を失った鼠ってのは、なんでこんなにも無駄に足掻くかねえ

お前も、お前の焦がれる家族と同じ死に方をさせてやるよ...
何処にも逃げ場はない　助けも来ない...
お前がこんな無謀なことしなけりゃよかったのになぁ...？
死んでも尚、後悔し続けろ　あの世で大好きな家族に会えることだけを希望にオレからの痛みを壊れるまで受け止め続けるんだよ
ああ...羨ましいねえ　こんな死に方できるなんてさ


(遠のく意識を覚醒させるかのように身体に痛みが与えられる)
(簡単には死なせてやらない、と笑っているようだった)
(名前も知らない怨敵に殺されるこの未来は変えることができない)
(痛みで火照る身体が絶望に包まれ冷たくなって、身体も感情もぐちゃぐちゃになる)
(ただ確かなのは　そこに絶えることのない痛みが存在していることだけだった)