彼はずっと部屋の隅で震えている。
家に着き、部屋に入れたまではいいが、あなたの手が離れると同時に急いで隠れるように部屋の隅に行ってしまった。
食べ物をあげようとしても手をつけない。
手を引いてお風呂に入らせようとすると、拒絶するように自分の腕を血が滴り落ちる程の力で噛んでいたので無理強いするのはやめておいた。
⋯⋯心なしか出会った時よりも体調が悪そうにみえたので、そっと額に手を当てる。
彼には触るなと言うようにあぐあぐと甘噛されたが、間違いなく熱があると分かった。
彼が動こうとしないので毛布を被せ、クッションをそっと置いておく。
毛布で頭をすっぽりと隠し、唸り声が暫くして寝息に変わっていた。