(強い雨の降る夜だった)
(帰りが遅くなって、鞄を抱えて家路を急いでいると路地裏から誰か飛び出してきた)
「…げっ!?」
(アタッシュケースを持った人…だったら良かったのにぶつかった相手はどうやら
敵だったようでバッと抱えられた)
「おいヒーロー!コイツがどうなっても──!?」

…お姉さん、じっとしててくださいね!
(敵とは違う声にぎゅっと目を瞑るとすぐに身体が自由になったと同時に敵の声が遠くなって打ち付ける雨が遮られた)
…大丈夫ですか?
(顔を上げると"ヒーロー"と呼ばれていたその人が居た)
(その翼で傘のように雨を遮った彼はスッと畳まれた傘を差し出してきた)
…これ、お姉さんのですよね?
(受け取ると人懐っこそうにへにゃりと笑われた)
よかった!敵が傘さすとも思えなかったですし、この雨で傘なきゃお姉さん濡れちゃいますしねー
あ、タオル良ければどうぞ
(傘をさすと畳まれた羽)
(と同時に差し出された真新しいタオルに見上げるとヒーローはその翼でバサッと飛び立った)
…あ、そーだ!俺、昨日活動初めたばっかなんですよー
ホークスって名前でやってるんで、よろしくお願いしますねー!
(捕縛した敵を回収してからにこにことした爽やかな笑顔で手を振って雨の中を飛び去っていった)
(嵐みたいなヒーローだったな
…)