『いいかい、キミはあの子とは一緒のプログラムじゃないんだ。関わっちゃいけないよ』

「……」
どうして?を1回飲み込んで、俺が怪我をする度わんわん泣く彼女を思い出して首を振ったのをずっと覚えてる
「それは違うと思います。…あの子、泣いてた。
泣いてる人を助けるのがヒーローなのに、一緒に居ちゃいけないんですか?」
妙に俺が聞き分けが悪かったからか、徐々に彼女と一緒にプログラムに取り組むようになった
それはつまり、彼女の"個性"も使いようによっては諜報に向いてる事を指していた
「…!…あっちにおる…!」
俺が索敵して、彼女が音も無く駆け抜けて地上で追って、空中まで逃げたら俺が。
大人たちには俺が彼女から離れたがらなかったのはさぞ都合が良かったろうと今は思う
「〇〇ちゃん、今日は怪我しとらん!痛とーなかよ!」
両手を見せると泣き出しそうだった顔がいつも安心した顔に変わった事も
「…大丈夫。一緒におるけん、頑張ろ」
繋いだ手がいつの間にか小さくなってた事も、
ずっと見ないフリを続ける事が難しくても、
気持ちは変わらないし、なくならない
なくならないから、俺は彼女のヒーローであり続けたい
…だから、
君の手だけは汚させない。絶対に。