今日はこどもの日。

でも、去年とはちょっとちがう。

今年のこどもの日は、わたしと、お父さんと、達哉と和哉といっしょ。……お母さんは、いない。


『ふふふー、じゃーん！　ここあ特製こいのぼりランチー！』


達哉と和哉の前に置く。ふたりしてはしゃいでいる。
まだはっきりとした発音ではないけれど、『ねーね』と聞こえなくもない。わたしを呼んでくれているんだ。うれしくなる。


『これはね、こいのぼり。こっちは、かぶと』

『おーぼー』

『あーうー』


達哉も和哉も、『こいのぼり』と『かぶと』を言おうとしているみたい。お父さんと顔を見合わせて笑う。


『今日はねー、男の子の日なんだよ！　達哉と和哉が主役なのだー！』


すこしずつ離乳食も固めのものに変わってきた。まだ歩くのは難しいけれど、時々立とうとしているのを見る。
二人とも成長しているんだ。ほんとう、お姉ちゃんうれしいな。



◆



達哉と和哉とお父さんと、しょうぶ湯に浸かる。

それから達哉と和哉を寝かせて……。


『ふぁ……』


ここあもねむたくなっちゃった……。

お布団にもぐろうとしたら、頭をなでられた。お父さんだ。


『すっかりここあはお母さんだな』

『えへへぇ……』


ぽやぽやした気分でお父さんの声を聞く。


『でも、ここあも今日の、こどもの日の主役なんだよ。……何かほしいものはないか？』

『あ、えとねー…………、今日かしわもちにおさとう……使っちゃったでしょ……？　おさ……とう…………』


そこでもう、ここあ……だめ…………。

ぽて、と、お父さんに体をあずける。

お父さんがため息をついていたような……そんな気が、した。


夢の中お母さんに会えますように――――――。