
「ええ。一番最初に地球上に現れたデモンズも、アラクネ型であるとは言われていますね」

「……ああ。間違いないと思う」

「突如渋谷に現れ、多くの人を――、私の両親を殺したのは、あれだ」

「…………!」

「昨日はニンフ型とか、人型デモンズについての資料見てたからな。大型の方は、手に取ったのがドレイク型とグリフォン型のだったから、そっちばっか見て、アラクネ型と呼ばれるデモンズについての資料は目を通していない」

「さっきも……、あまりにもでかくて、さすがにびびったね。あと、いろはに気を取られてたから、じっくり見るまで気づかなかったけど……」

「……うん。あれは、私がずっとぶち殺したかったデモンズだ」

「……とはいえ、さすがに6年前に一番最初に現れたやつじゃないよな」

「あいつはあそこまででかくなかったと思うし……。それに、6年前のデモンズとか、さすがにこれまでのMS少女が倒して……」

「デモンズの個体識別は難しいです。……というより、今現在、倒されていないデモンズを同一個体かどうか知る術がありません」

「大きさも、本来のものなのか、あるいは何らかの能力、成長により変化するのかも定かでありません」

「特に……、はなびさんが経験したあの事件が起きた当時は、デモンズのこともMagna Spicaのことも何一つわからない状態だったと聞いています」

「……ひょっとしたら、6年前に一番最初に現れたデモンズと同一個体かもしれないってこと?」

「“わからない”が答えですが……。大混乱の中、何らかのタイミングでデモンズが入れ替わっていても気づける人がいるかどうか」

「仮にMS少女に倒されることなく生き延びていたとしても、デモンズに寿命というものがあるかもわかりませんしね」

「ああ……、なるほど……。殺さない限りずっと生きているかもわからないのか……」

「…………ま、うちの両親殺したデモンズが生きていようが死んでいようがどうでもいい」

「どうせ一匹残らず滅ぼすんだからな」

「個体の識別なんざしなくても、デモンズはデモンズだ。人類の敵であることに変わりはない」

「とはいえ、そいつが倒せないのは問題だ」
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