(言ってから気づくが、自分ははなびの好物を知らなかった。……何が好きなのだろうか)

「…………そういえば、いろはさんがこっそり教えてくれました。『カオリンは和菓子派なんだよ』って」
(こっそり? そんなに大切な情報だったりするのだろうか)
(メアリーは、くすりと笑った)

「『handful hope』は、おばあちゃんっ子だそうです。そのため、洋よりも和を好むとか。……でも、恥ずかしいそうで、みんなの前では内緒にしているんだそうです」

「サポーターは、担当MS少女の身のまわりの世話もするということで……、いろはさんが、『handful hope』の目を盗んでこっそり教えてくれたんです」

「『カオリンは流行りものが大好きなんだけど、ほんとに好きなのはお団子とかおまんじゅうなんだよ。だからおやつに迷った時は和菓子を出してあげてね』って……」

「あ……、ああ、サポーターさんにばらしてしまいましたが……」

「…………いい人でしたね、いろはさんは……」

「最初は、場をかき乱す人だなって印象だったんですが……。決して悪気はなくて……。私含み、みんなと仲良くなりたがって……」

「正義感も強くて……、勇敢で……、まっすぐで…………」

「私は、そんな人を…………」
(メアリーの肩を叩き、その後のセリフを止める)
(花織は和菓子が好きなのか。なら、和食も好きだろうか?)
(それはわからないが、せっかくなら和菓子をさりげなく用意し、それに合わせて食事も準備しよう)
(お団子やおまんじゅうを手作りするのも、『花織の好物だから用意した』とばれかねない。和菓子は美味しい店から買ってこようか)
(メアリーに提案すると、メアリーは少し表情が和らいだ)

「そうですね。それでいきましょう……」
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