「6年前、初めて渋谷にデモンズが現れた時……、私は、両親と一緒にいた」
「大地震とか、どっかの国が戦争しかけてきたとか、そういうことならまだ、みんな冷静になれたんじゃないかなーとは思う」
「でも、突如現れた見たこともないバケモノは、圧倒的な力で街を破壊し、人々を食い始めた」
「バケモノによる侵略は、終わりがわからなかった。行動パターンすら全く読めず、人々は大混乱に陥った」
「もちろん、避難命令は出されたね。……どこに逃げろって言うんだって話だったけどさ」
「ただ……、うちの親父、警察官なんだ。しかも、わりとトップの方でね。すぐ逃げるわけにはいかなくて」
「私は、仕事に向かう親父を追いかけちゃったんだ」
「避難誘導してる親父を見て、『私も手伝う』って幼心に言ったんだったな。もちろん、親父も、私を追ってきたお袋も、ばかなことを言うなって言ってた」
「その時だった。“それ”が私らの背後に現れたのは」
「親父が誘導してたおかげで、周辺に私ら以外の人間はいなかった。……逃げる間もなく、デモンズの攻撃を受けた。全速力の大型トラックにでもはねられたらこうなるのかってくらい吹っ飛んだよ」
「でも、私は、かすり傷で済んだ」
「親父とお袋が、私を抱きしめてくれてたんだ」
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