(はなびが連れてきたのは、はなびの部屋だった)

「最初は、自分の部屋の方が落ち着くかと思ったんだけど……、花織の部屋は……、……思い出があると、いけないから……」

「……私の部屋じゃ落ち着かないかもしれないけどさ。まぁ、救護室に行って、知らない人に泣き顔見られるよりはいいだろ」

「……やだったら、自分の部屋行っていいから」
(花織の部屋は、はなびの部屋の隣だ)
(ちなみに、普通のMS少女は、相部屋である。個室が与えられるのは、優秀なMS少女のみだった)

「ええと……。朝も早かったし、てかいきなりだったし、飯、まだだよな……」

「何か、食べようか……」

「って、あ……、そういうのも、サポーターに頼むんだっけ……」

「わかりました、私が朝食の準備をしましょう」
(はなびの迷いを断ち切るように、メアリーが即座に手を挙げる)

「ご希望はありますか?」

「……」
(はなびは、ちらりと花織を見る。花織は、泣いているままだ)

「私は特に希望ないし……、任せる」

「承知いたしました。はなびさんの部屋に持ってきますね」

「うん……あ、もちろん、アンタらも腹減ってるだろ? ちゃんと四人分用意してね」

「はい、わかりました」
(メアリーを手伝った方がいいだろうか。メアリーもだいぶ参っているようだし……)
(かと言って、自分ははなびのサポーターだ。泣いている花織の相手をはなび一人に任せていいのだろうか……)
部屋に残るメアリーを手伝う