
「………………」
(メアリーから反応はない)
(もう一度声をかけようとすると、メアリーが口を開いた)

「私は…………、『handful hope』に会っていいのでしょうか…………」

「……いろはさんが、果敢にデモンズに向かっていきました。今回のデモンズは、言うまでもなく過去最大でしょう。普通のMS少女のいろはさん一人で敵う相手ではありません」

「『handful hope』も向かわせるべく、私は声をかけました。……しかし、私の言葉は、何一つ彼女の耳には届かなかった」

「いら立った私は、彼女に怒ってしまった。彼女も私に怒った。……あろうことか、ケンカをしてしまったんです。サポートすべき対象と、デモンズの前で」

「その時でした。いろはさんがデモンズの攻撃を受け、気を失ったのは」

「…………もう、その時には、すでに手遅れだったとは思います。サポーターさんと『wise Shark』がすぐ動いてくれましたが、いろはさんの呼吸は、気絶後まもなくして止まり……、MSもオフになりました」

「『wise Shark』が『handful hope』のもとに来てくれた時、すでにいろはさんは死んでいました」

「…………私が……、『handful hope』を奮い立たせることができていれば……」

「…………いろはさんを殺したのは、私だ…………」

「…………『handful hope』は、もう私の顔など見たくないかもしれません……」
(何と声をかければいいかわからなかった。今は、そっとしてあげるべきなのかもしれない……)
(しかし、自分たちの仕事は、対象のサポートだ。それは戦闘に対してだけではない)
(今は、お互い気まずくても会いに行き、状況確認をしなければならないだろう)
(メアリーも、ここでじっとしていていいわけでないことはわかっている)
(しばらくして、メアリーは動き出した。……共に、モニタールームを後にする)
→