「検査でもやったと思うけど、こーやって、電話するみたいに、MSフォンを耳に当てるの!」

「こうすることで、脳波を測ることができるんです」

「……健康機具みたいですね」

「ふふっ、計測結果がわかって、それを知らせてくれるわけではないんですけどね」

「MSの適性は、脳波で判断されるんだ。MSフォンは、MS……Magna Spicaに脳波を送り、適性がある場合、パワーを送り返す。MSフォンがあるおかげで、Magna Spicaが近くになくてもデモンズと戦う力を得られる」

「………………。はなびちゃん、詳しいね。えっ、ひょっとして筆記試験とかあるんですか?」

「いや……、MS少女になるにあたり、自分で色々調べてただけさ」

「ふふっ、はなびちゃんはよく勉強していますね」

「でも、MS少女として大事な勉強は、もっぱらデモンズとの戦闘に関する知識。Magna Spicaの内部仕様は、興味があるなら調べてもいいけど、そうでないなら知らなくても全然問題ないわ」

「そ、そうなんですか……?」

「あたしもそういう話は全然わかってないよ! 授業でも習わないし! でも、はなびちゃんは物知りだね! はなびちゃんって頭もいいんだ!」

「いや……、別にそんなことはないよ」

「そうかなぁ? ひょっとしたらあたしよりMSについて詳しいんじゃないかなぁ」

「でも、MS少女として実戦経験があるのはあたしだから! 何かあったら頼ってね!」

「…………ん」
(はなびは、小さくいろはに頷くと、ちらりとこちらを見た。『サポーターもいるから、他の手助けはいらない』と言いたいのだろうか)

「では、続けましょうか」

「MSフォンを耳元に当てた状態で『メタモルフォセス』とつぶやくと、適性がある少女ならMSを起動することができます」

「いろはちゃん、お願いします」

「はーい! やるよー! 見ててねー!」

『メタモルフォセス……!』
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