
「さてと。それでは、これからNMSオリエンテーションを始めます」

「お願いしまーす!」

「ふふ、いろはちゃんは現役MS少女として、私や花織ちゃん、はなびちゃんのサポートをしてくださいね」

「はーいっ!」

「サポーターの二人も、実際の戦闘時は現場に赴かないことがほとんどだから、担当する子のことをよく見て、気になったところがあれば意見するなり、頭の中に留めておくなりしてね」

「えっ! サポーターって……、戦闘の補佐してくれるって話じゃ……」

「ええ、そうですよ。でも、現役MS少女がサポーターになることはありません。すなわち、サポーターには戦うための能力がないの。一緒に現場にいたら、ただの足手まといになってしまうわ」

「でも、サポーターはちゃんとMS少女の戦況は理解しているわ……。その説明もきちんとするけれど、まずは、実際にMSを起動することから始めましょう」

「じゃあ、これが二人のMSフォンよ」

「は、はい……。検査の時も見たけど、一見フツーのスマホですね」

「ううん、違うよー」

「わかってるよ。特殊な装置なんでしょ?」

「ううん、そうじゃなくてー。検査の時で使ったのと違うんだよ」

「え、そうなの?」

「うん! カオリンとはなびちゃんはねー……、なんと! MSフォンが専用デザインになってるんだ!」

「……デザインだけ?」

「あとは、使用者にはわからない内部仕様ね。従来のものと回路を変えられるから、開発者の視点からしたら便利みたいだけど……」

「でも、使用感は、花織ちゃんとはなびちゃんに渡したMSフォンも、いろはちゃんたち従来のMS少女が持っているMSフォンも変わらないと聞いているわ」

「でも、あたしたちのMSフォンって、みーんなおんなじ色だし形だしー。その辺にぽいぽいって置いといたら、誰のかわかんないよ!」

「その点カオリンとはなびちゃんは、専用のデザインなんだよ! ほらっ、カオリンとはなびちゃん、色も違ってる!」

「あ……、ほんとだ……。ウチは水色だけど、はなびちゃんは紫なんだ……」

「ふふっ。二人の写真を見たNMS開発者がね、『記念すべき初適合者ならオリジナルのMSフォンを作ってあげますわ』って……、デザインまで少し変えたのよね」

「え? これ、わざわざウチのために作ってくれた……ってこと? ……す、すごぉい……。ウチってトクベツ、なんだ……」

「そうだよー! カオリンはすっごーく強いってことなんだから! デモンズをギッタンギッタンにしようね!」

「ふふ、期待してますよ、花織ちゃん、はなびちゃん。では、早速MSを起動してみましょう」

「いろはちゃん、お手本をお願いしますね」

「はーい!」
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