
「店長はそっち、夏子」

「まぁ、夫婦だから、どっちも店長みたいなもんなんだけどね」

「ま……、このCACAO APOCALYPSE(カカオ アポカリプス)に関しては、ずっと夏子が店長だよ」

「夏子さん、ですか」

「うん。ちなみにそっちは真仁神晃人です」

「ヨロシク~」

「このお店、まだスタッフ募集してます?」

「え? まぁ……、もともと夫婦二人でやってたし、イコちゃんが来てくれただけでもだいぶ助かるんだけど……」

「もう一人くらい雇う余裕ありますかね」

「じゃ、この私、沢近芽依(さわちかめい)も、ここで働かせてください」

「……え?」

「えっ? さ、さっきの話聞く限り、あなたも芸能人……なのよね? お仕事は……?」

「休業します。……私は、イコ先輩を連れ戻しに来たんです。手ぶらでは帰れませんし」

「そ、そんな、芽依さ……」

「うるせーです。私だって、一度決めたことは曲げません。イコ先輩が休むなら私だって休みますから」

「安心してください。多少ブランクあっても、“私なら”すぐ取り戻せますから」
→