名前:『wise Shark』

デモンズを31匹倒した


「客席にいるここあさんを見た時……、私は驚きました。彼女は、私がなりたかった姿を体現しているかのようでした」


「あの、誰もを魅了する圧倒的なカワイイのオーラ……。間違いなく、彼女は私の心をつかみました」


「それだけでなく、この人となら、私やっていける! そうも確信したのです」


「……今までは、ユニットを組ませてもらっても、最初から『何かが違う』と感じてきましたから」


「……それで、ここあを追っかけて、本業の芸能活動を休んでここに来たらしいのよ。MS適性はないから、商業区画のスタッフとしてね」


「ただ……、ここあは、イコの熱量に少し引いちゃって」


「ストーカーされたらそりゃ引くわな」


「まぁ…………、ここで働くのを決めたのも、私とよく来るお店だからっていう理由だったそうだし……」


「うわ、完全なストーカーじゃないですか。引くんですけど」


「っ…………」


「っか、構いません! それでも、私はここあさんと組んでみたいんです! そのために私は、ここあさんにいつでも会えるようここに来たんですから!」


「ここあさんは、嫌だって断ってんの?」


「ここあさんは、今はMS少女に専念したいと仰っていて……。そうですよね。MS少女の皆さんは、世界平和のために戦っているんですもの。それを邪魔するなんてもってのほか……」


「でも、いつまでもMS少女でいられるわけではないのでしょう? 適性があっても、年をとると適性が失われてしまうと聞きます。ここあさんから適性が消えたら、もう一度スカウトさせてくださいと予約しておきました!」


「……ここあさんは、ファッションデザイナーになりたいんじゃなかったっけ……」


「ええ! それも聞きました! 素敵ですよね! さすがです!」


「ここあさんなら、二足のわらじも履けると思います!」


「あ…………、その辺も承諾した上でアタックしてんのね」


「ココアだかカカオだか知りませんけど、その人の適性がすぐ失われるとでも思ってんですか? まだ数年先かもしれませんよ? その頃にはほんっとーにイコ先輩、BBAですよ? 売れていない年増のアイドルなんて、産業廃棄物」


「大丈夫です。……ここあさんと一緒に歩めるのなら」


「大丈夫だって、信じているんです」


「…………根拠のない自信ですねぇ。MS少女なんて死と隣り合わせだから、死んじゃうかもしれないのに」


「そんなの……、MS少女でない私や芽依さんだって同じです。誰でも、いつ死ぬかなんて、わかりません。……だから、私は、私の信じる道を進みたい」


「………………」



18話7