(振り向くと、入り口に一人の女の子が立っていた)

「あっ……、め、芽依さん……」

「はわっ!? こ、この人モデルさんっ!? この前見た雑誌に出てた……!?」

「あっ! 私のことご存知なんですね~♪ いつも応援ありがとうございまーす♪」

「ど、どうしてここに……あっ! MS少女になったんですか!?」

「あー……、なろうと思えばなれるのは確かなんですけどね。私MS適性あるみたいなんで」

「ただ、私は芸能活動優先したいので、MS少女になるのは拒否しました」

「わっわっ、じゃあやっぱりロケ!? はぁぁぁぁ、ウチさっき買った服に着替えた方が~っ!?」

「落ち着け落ち着け。カメラなんてどこにも見当たらないぞ。スタッフらしき人間の気配もないし」

「で。何ですかいきなり。『ちょっとスカウトしてくる』と言ってこの特殊なんちゃら学校に行き、それから数日経って『ちょっと休業します』って」

「それは……、事務所にご報告した通りで……」

「あんたここで遊んでる暇なんてあると思ってんですか。自分の歳いくつかわかります? 今のままじゃあと数年経ったらもう完全なお払い箱ですよ。若さで売れる今のうちにいっぱい活動しておかないと」

「そ、それが嫌なんです! ……私は、実力で勝負したい!」

「まー、気持ちはわからなくはないですよ。気持ちは、ね」

「だからといって、ユニット組んだ相手全てに高い望み押しつけて煙たがられ、枕だって断固拒否」

「もちろん実力が伴っていればまだ黙らせられますけど…………、ねぇ?」

「あなたの歌は、音程だけ取れていて綺麗なだけ。それを良く言って、“ピュア”ということをウリにしてるけど……」

「イコ先輩のようなBBA使うくらいなら、純粋なその辺のお子様歌わせた方がいいんですよ。そっちの方が遥かにピュアなんだから」

「っ…………!!」

「帰りますよ。ユリさんだって心配してんですから」

「い、嫌です!! ……私、運命の人を見つけたんですから!」

「………………あ?」
→