
「こっちが和哉(かずや)くん!」

「………………」

「合ってる……わよね……?」

「合ってるよー!」

「セイラ姉ちゃん自信持って!」

「オレたちのお父さんは仕事で来られないから、セイラ姉ちゃんのお父さんとお母さんに連れてきてもらったんだ!」

「姉ちゃんも忙しいみたいで……、これからセイラ姉ちゃんたちと回るつもりなんだよ!」

「そういえばここあさん、最近忙しそうにしてたような……」

「ここあ、昔からファッションデザイナーになるのが夢でね。ここに来ても、暇な時間は服を作っていたの」

「急に学園祭が決まったでしょう? なんか……すっごく張り切っちゃって。『せっかくならここあの作った服をみんなに見てもらいたい!』ってね」

「まだ未完成みたいで、教室にこもってるんだけど……、イコのライブまでにはどうにか間に合わせるつもりみたい。だから、ライブが始まる手前になったら、みんなでここあの様子を見に行くつもり」

「ここあちゃんの服、楽しみね」

「きっと姉ちゃんすごいの作るぜー!」

「ライブってことは、芸能関係者も来るんだろー? スカウトされないのかなー」

「そうなったらここあくんは一気に有名人か。今のうちにサインをもらっておいた方がいいのかもしれない」

「もう、お父さんたら」

「……」
(はなびは、両親の間に立つセイラをじっと見ている。……両親と親しげに話すセイラに、やはり思うところがあるのだろうか?)

「そういえば花織も、結衣ちゃんを招待するって言ってなかった?」

「あ、あぁ……、実は結衣、昨日から熱出しちゃったみたいで……。ウチの家族は誰も来ないんですよ」

「何か大いなる力によって熱を出したみたいだな……」

「?」

「そうなの。残念ね。会いたかったわ」

「セイラも親と一緒にいるのは退屈でしょう? 達哉くんと和哉くんは私たちに任せて、お友達と楽しんだら?」

「ううん、退屈なんてことはないわ。それにここ、商業区画もあって、街みたいにおっきいのよ。私が案内しないと迷子になっちゃうわ」

「でも……」

「そ、それに、私がお母さんとお父さんと一緒にいたいのよ。……しばらく会えていなかったし。達哉くんと和哉くんにもね」

「へっへへー、結構いい男になったでしょー?」

「前にセイラ姉ちゃんと会った時より背も伸びたもんねー!」

「ふふ。そうね。頼もしくなったわ」

「じゃあ、花織さん方を引き止めていても悪いし、私たちは行きましょうか」

「どこかで会えたらまたよろしくね」


「またねー!」
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