名前:『wise Shark』

デモンズを31匹倒した


「こっちが和哉(かずや)くん!」



「………………」



「合ってる……わよね……?」


「合ってるよー!」


「セイラ姉ちゃん自信持って!」


「オレたちのお父さんは仕事で来られないから、セイラ姉ちゃんのお父さんとお母さんに連れてきてもらったんだ!」


「姉ちゃんも忙しいみたいで……、これからセイラ姉ちゃんたちと回るつもりなんだよ!」


「そういえばここあさん、最近忙しそうにしてたような……」


「ここあ、昔からファッションデザイナーになるのが夢でね。ここに来ても、暇な時間は服を作っていたの」


「急に学園祭が決まったでしょう? なんか……すっごく張り切っちゃって。『せっかくならここあの作った服をみんなに見てもらいたい!』ってね」


「まだ未完成みたいで、教室にこもってるんだけど……、イコのライブまでにはどうにか間に合わせるつもりみたい。だから、ライブが始まる手前になったら、みんなでここあの様子を見に行くつもり」


「ここあちゃんの服、楽しみね」


「きっと姉ちゃんすごいの作るぜー!」


「ライブってことは、芸能関係者も来るんだろー? スカウトされないのかなー」


「そうなったらここあくんは一気に有名人か。今のうちにサインをもらっておいた方がいいのかもしれない」


「もう、お父さんたら」


「……」


(はなびは、両親の間に立つセイラをじっと見ている。……両親と親しげに話すセイラに、やはり思うところがあるのだろうか?)



「そういえば花織も、結衣ちゃんを招待するって言ってなかった?」


「あ、あぁ……、実は結衣、昨日から熱出しちゃったみたいで……。ウチの家族は誰も来ないんですよ」


「何か大いなる力によって熱を出したみたいだな……」


「?」


「そうなの。残念ね。会いたかったわ」


「セイラも親と一緒にいるのは退屈でしょう? 達哉くんと和哉くんは私たちに任せて、お友達と楽しんだら?」


「ううん、退屈なんてことはないわ。それにここ、商業区画もあって、街みたいにおっきいのよ。私が案内しないと迷子になっちゃうわ」


「でも……」


「そ、それに、私がお母さんとお父さんと一緒にいたいのよ。……しばらく会えていなかったし。達哉くんと和哉くんにもね」


「へっへへー、結構いい男になったでしょー?」


「前にセイラ姉ちゃんと会った時より背も伸びたもんねー!」


「ふふ。そうね。頼もしくなったわ」


「じゃあ、花織さん方を引き止めていても悪いし、私たちは行きましょうか」


「どこかで会えたらまたよろしくね」


「またねー!」



16話7