「ところで、ここに来てどうしたんだい? ここには見世物は何もないよ?」

「あ、そうそう! ウチら、マリオンさんにお祝い言おうと思って!」

「……そのためにわざわざ?」

「せっかくだし……。それに、今日がマリオンさんの誕生日って、聞いちゃってたわけだしね」

「『祝え』って言ってるようなもんだよね~」

「…………すまないね、そういうつもりではなかったんだが」

「あ、で、でも、プレゼントは特に何も……」

「……私もこれから、りりちゃんと学園祭を回るつもりだったんだ」

「せっかくだ。一緒に回ってくれないかな。……それを誕生日プレゼントにしてくれたら、私は嬉しいよ」

「……りりぴょんは、いいの?」

「う、うんっ。……マリオさんと回るのも楽しいけど……、はなびさんたちとも回れたら楽しいと思うし……」

「無理してない?」

「う、ううんっ、全然!」

「……りりちゃんは、はなびくんと話してみたかったみたいだよ。いろはくんから聞いた、花織くんともね」

「そ、その……。むしろ私がいて、迷惑、じゃないかな……?」

「……私は別に構わないよ」

「うんっ! 人数は多い方が楽しいじゃん!」

「あ……、ありがとうっ」

「……はなびくんたちさえよければ、たまには私の家にも遊びに来てくれないかな。りりちゃんも喜ぶから」

「あっ……、そ、それこそ迷惑じゃ」

「ううん。別に。……ただ、そこそこ忙しいから、行けない時も多いだろうけど」

「ウチも全然平気だよ! むしろりりぴょんやマリオンさんともっとたくさん話してみたいしさ!」

「ありがとう……!」

「あ、でも今は、それよりもっとマリオンさんに言わなきゃいけないことが……!」

「え?」
(花織がくるりとこちらを向き、みんなで示し合わせる)
「誕生日おめでとう!」