
「彼女は、マリオン・コリーヌ・アンヌさん。MS研究者の一人です」

「もともと一人静かな場所にいるのが好きでね。……商業区画のはずれ、この特校の敷地ぎりぎりの場所に住んでるんだが」

「エリザくんが……いや、デモンズが研究棟を壊してからは自宅に引きこもってしまっている状態かな。……なかなかこちらまで足を運ぶこともないから、見かける機会もなかっただろう」

「……確かに、一目見たら忘れないインパクトはある」

「キミたちはNMS少女だろう? エリザくんから話は聞いているとも」

「ところで……、マリオンさん。先ほどの話、聞いていたんですか?」

「ああ。……盗み聞きみたいな形になってしまって申し訳なかったね」

「5月25日は、私の誕生日なんだが」

「あ、そうなんだ! もうすぐですね!」

「ぜひとも……! 私の誕生日に、イコたんの生歌が聞きたくてな……!」

「この特校にイコたんが呼べないか、そしてせっかくなら、特校の皆でイコたんのライブを楽しめないか……」

「そんなことを考えていたんだ」

「いこたん? 誰だそれ。花織知ってる?」

「え? えーっと……。……だ、誰だろうな~……、心当たりはあってもぴんとくる人が思い浮かばない……」

「何!? キミたちはイコたんを知らないのかね!?」
(マリオンはスマホを取り出し、ささっと操作する)
→