名前:『wise Shark』

デモンズを31匹倒した

(そこには、ここあとセイラがいた)



「だいじょうぶ……?」


「…………いろはのお葬式なんてね」


「………………」


「………………本当、嫌だわ」


「っ…………」


「ごめんなさい……っ、ごめんなさい…………!」


(はなびの胸の中で、花織は震え出す)



「ご、ごめんねごめんね! セイラはカオリンを責めてるわけじゃないんだよっ」


「ご、ごめんなさい……。軽率なことを言ってしまって……」


「その…………、私が嫌だと言ったのは、自分に対してなの……」


「私もここあも…………、MS少女になってから……、身近な人の死に多く触れてきたわ……」


「そのたびに泣いたわ……。仲良くしてくれていた子たちが、お世話になった先輩が、戦死していく様を見て……」


「……でも…………、あまりにもそれが頻繁にあると……、……慣れていってしまうのよ…………」


「いろはとは……、私、すごく仲良くできたお友達だと思ってる……」


「セイラは、コミュ障ちゃんだからにゃ……」


「いろはと話していると、楽しいわ……。ここあと同じくらいに心を許せたのは、いろはが初めてよ……」


「そんないろはが死んだというのに…………、あまり悲しい気持ちになれない自分が、嫌なの」


「…………ここあもおんなじ。誰が死んでもお母さんが死んだ時と同じくらい悲しかったのが、遠い昔みたい」


「セイラともね、時々話すの。……もしどちらかが死んじゃって、どちらかが生き残っても、きっとそんなに悲しくないんだろうねって」


「……嫌だわ、本当。お姉ちゃんがデモンズに殺されて、もうお姉ちゃんみたいな人を増やしたくないと思って、MS少女になったのに……」


「……人の死を悲しめないなんて、…………私がデモンズになってしまったみたいだわ」


「………………」


「…………でも、今回はさ……、ほんとに悲しめなくていいんじゃない」


「え?」


「だって、ここ、すっごーく楽しい雰囲気だよっ」


「……きっと笑ってて、いいんだにゃ。悲しい気持ちになれないことを悲しまなくたって、いいんだにゃ」


「……悲しくないとはいえ、楽しい気持ちにはなれないわ」


「でも、いろはすは……、きっと楽しんでほしいと思ってるよ」


「…………そうね」


「…………ね、セイラ。あっちの風船見に行ってみよーよ」


「…………うん」



12話5