名前:『wise Shark』

デモンズを31匹倒した


「…………ウチは…………、どう、謝れば…………いいのかな…………」


(結衣がどういうことか聞く)



「…………ウチが、いろはを、殺したのよ」


「かっ、花織さん……」


「ちょっと親友亡くしてマイナス思考になってんだ」


(結衣が不思議そうな顔をしている。結衣と初対面の自分らは、自己紹介をしておいた)

(結衣も、姉の周囲にいる人物がどういう関係かを知り、少し安心した様子だ)

(花織は、うつむいたまま深呼吸をした)



「どうして…………、ウチは、いろはを助けられなかったんだろう…………」


「いくら弱いとはいえ…………、大切な親友なのに…………。何にもできなかったなんて…………」


「はなびの時は…………、ちゃんとできたのに…………」


「なんでウチは…………、今……生きているんだろう…………」


「……」


「いろはに助けられたから…………でしょ?」


「そうじゃ、ない……」


「…………うん。わかるよ」


「いくらそうだとしても…………、相手と異なる世界で“生きている”事実を、すぐ納得できるわけじゃない……」


「でも、それは言うな。……胸に秘めておけ」


「だって……、だって、謝らなきゃ…………」


「いろはの時はもう止まったんだ。花織の時は続いてる。……どういうことかわかるか?」


「下手なこと言って反感買ったら、生きづらくなるのは花織だ。言って楽になりたい気持ちもわかるが、遺族やいろはの友達の前で言うべきじゃない」


「帰ったら私が聞いてやる。……だから、ここで憎しみを自分に向けるのはやめろ」


(はなびが花織を抱く。……結衣がとても複雑そうな顔をしているのは気のせいだろうか)



「そもそも、花織はもう謝ったんじゃないの? ……いろはが学校に帰った時に……」


「きっといろははもう聞いてるよ。『もういいよカオリン』って……、言ってくれるよ」


「そりゃいろはは優しいけど…………、本当に、そうかなぁ…………?」


「ううん、もし……もしいろはが許してくれたとしても……、いろはのご両親やお兄ちゃんは…………」


「何でも正直に打ち明けるのがいいとは限らない。……黙っとけ。デモンズのせいにしておけ」


「ここで『いろはを殺した』なんて言ったら……、きっと、いろはが一番悲しむ。……花織が悪人になっちまうから」


「罪だと思ったことを自白して楽になりたい気持ちはわかる。……だけど、それは自己満足でしかない。……ここには、アンタの味方しかいないわけじゃないんだ。他人を不快にさせると思って……、今は我慢して呑み込んどけ」


(結衣が何があったのか聞いてくる。……しかし、さすがに答えづらい)

(メアリーと共に、落ち着いたら花織から話してくれるだろうと言って誤魔化すが、あまり納得がいっていない様子だ)


「カオリン」


(突如聞こえた花織を呼ぶ声に、はなびに抱かれている花織の肩が跳ねる)



12話4