(声をかけてきたのは、花織の妹だった。結衣というらしい)
(結衣は、今回の葬儀に関する詳しい話を聞かせてくれた)
(魔法少女が大好きないろは。よく観る魔法少女アニメの影響か、正義感は人一倍強い)
(それはいろはの最大の長所であると同時に、短所でもあった)
(プラットホームから落ちた子を助けようと、自分も線路に飛び降りて電車に轢かれそうになったとか。人に絡んでいた酔っ払いに注意をして、激昂した相手に乱暴されそうになったとか。危ない目に遭うこともよくあったそうだ)
(それでも、花織をはじめ、周囲の人がいろはをすぐ助けてくれたからこそ、大きな事件には発展せず育ってきたらしい)
(MS少女として適性があるとわかった時、いろははすぐさまMS少女になることを決めた)
(家族は心配だった。しかし、いつまで経っても“魔法少女になりたい”という夢を持ち続けるいろはに、『MS少女にならないで』とは言えなかった。むしろ反対しても、聞く耳を持たないだろう。“困っている人を助ける”のは、彼女の信念だからだ。MS少女になって、デモンズのせいで困っている人を助ける。もういろはの頭には、それしかないに違いなかった)
(家族は、いろはが無事にMS少女を全うして帰ってくることを祈っていたものの……、いろはの無鉄砲な性格からして、いろはが戦死するのも覚悟していたそうだ)
(そして、その日はやはり来てしまった――)
(家族は、魔法少女が大好きで、いつでも元気ないろはのために、その日が来ても、笑顔で送ってあげたいとは話していたらしい)
(特に、彼女の命日は、誕生日も近かった。……ならば、最期の誕生日パーティを行えないか)
(そこで、葬儀会場をこうして賑やかに飾り付けたそうだ)
(死んだとしても、『悲しい顔しないで笑ってよ!』と言うであろういろはのために…………)
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