名前:『wise Shark』

デモンズを31匹倒した


「思えば、ウチがいろはにしてあげたことって、何なんだろ。……なんか、全然、これと言って思い浮かばないや」


「………………」


「やっぱアンタ、私に似てるかも」


「え?」


(はなびは照れくさそうに頬をかくと、壁にもたれかかった)



「……私の親父、警察官だって言ったろ? 常に忙しくて、仕事三昧。私は、親父の思い出なんて特にない」


「……今思えば、それが寂しくてしょうがなかったんだろうけど……」


「悪いにーさんたちと友達になってね。違法賭博やってた」


「………………デモンズに襲われた日、私が親父とお袋と一緒にいたのは」


「補導され、聴取受けた後、親父と共に帰されたからだ」


「…………私は、そんな、悪い子だった。いや、ガキで罪にならないとはいえ、犯罪者だった」


「迎えに来たお袋は泣いてた。典型的な親不孝者だ。……私が両親のためにしてあげたことって、何かあったのかな」


「でも、そんな私を……、両親は、自分の命も顧みず、守ってくれて…………」


「『愛されていたんだ』って、私は、ようやく気づいたんだ」


「っ……」


「きっと、何か特別なことしなくてもさ、生きてるだけで嬉しいんだ」


「そんな存在だったってことだよ」


「両親にとっての私も……、いろはにとっての花織も…………」


「……はなび…………」


「泣くなよ……。言ったろ? 私、アンタが泣いてるとつらいんだ」


「私まで……、泣きそうに………………」



11話6