名前:『wise Shark』

デモンズを31匹倒した

「いろはは、毎日ウチの家に来た」

「最初は、会いたくなかったの。……いろはに限らず、誰にも」

「部屋に鍵をかけて……、いろはを『会いたくない』、『帰って』って突き放して……」

「最初は、いろはも『わかった』って言って帰ったんだけど……。ある日突然……」

「『もう限界! あたしカオリンに会いたい会いたい会いたいー!!』って騒ぎ出して」

「その結果、ウチの部屋のドア壊したの」


「もう信じられる? ウチの部屋のドア、ばかになっちゃって、鍵かけられなくなっちゃって、それどころかなんか外れそうにすらなってて」

「めちゃくちゃ怒ったら、いろはってばにこにこしててさ、さらに怒っちゃったんだよね」

「いろは叩いた……あ、もちろん、痛いくらいじゃないよ? ま、まぁ、ちょっと痛かったのかな~……。いろは涙目になってたし…………」

「でも、いろはってばずっと嬉しそうなの」

「『やっとカオリンの顔が見れた』って……、ね」


「それから……、部屋に鍵かけられなくなっちゃったから……、いろはは毎日ウチの部屋に遊びに来るし、ウチの妹の結衣もいろはの真似してとにかくウチの部屋に来て……」

「毎日、鍵のかからないウチの部屋で、三人で遊んだ。いろはの学校がない日は、いろはが泊まっていくのも当たり前になって」


「年が明けて、冬休みが終わる頃……。いろはが、言ったの」

「『あたし、カオリンと一緒の学校行きたいな。カオリンと同じクラスになりたい』」

「……ウチも、いろはと一緒なら、もう一度やり直せるかなって…………、思ったの…………」

「だから………………、恩人なんだ、いろはは…………」


「…………もう恩人にならなくても、よかったのに………………」



11話5