(ある棟の廊下に、丹はいた)
(花織の姿を見ると、丹は心配そうな顔を向ける)

「花織ちゃん……、大丈夫?」

「一応……、さっき戦闘はしたんだよ」

「え? 戦闘……!?」
(エリザが先ほどのデモンズを呼び出し、それをはなびと花織が倒したことを話す)

「まあ……、そうだったの。まだ報告を聞いていなかったわ」

「お疲れ様です、花織ちゃん、はなびちゃん。そしてサポーターの二人も。……よくやってくれました」

「そして、その話を詳しく聞きたいのはやまやまだけど……、こちらの話から進めていいかしら」

「こちらは――、いろはちゃんの死亡を確認、遺体を運んできました」

「…………っ……」
(――この棟は、安置室のある棟だ)
(丹の立っている後ろの扉……、その奥に、いろはが、いるのだろう)

「あなたたちに連絡する前に、先にご家族に連絡しました」

「ご遺体は、明日、もしくは明後日、いろはちゃんのご実家近くの葬儀場へ運ばれます。火葬は、早ければ明日の午後にでも行えるでしょうか」

「いろは…………」

「……ご家族から許可も出ましたので、この後いろはちゃんの遺体を調べます」

「……MS少女が戦死した場合、葬儀の手配、費用は全てこちらが負担します」

「ご家族の希望もあり、家族葬ではなく一般葬です」

「希望者は全員参列できますが……、どうしますか……?」

「……もしつらければ、参列しなくてもいいのよ……?」
(花織は、首を横に振る)

「出ます……。絶対、出ますっ……」

「…………私も参列していいのかな」

「ええ、いろはちゃんも喜ぶと思いますよ」

「サポーター二人も、参列はお願いしますね」
(メアリーと共に頷く)

「では、詳しい日程が決まり次第、またご連絡しますね。……いろはちゃんの葬儀が終わるまで、二人とも授業は休みでいいわ。戦闘も、どうしてもの時以外は他のMS少女にお願いしますので」

「あ、あのっ……、い、今、いろはって……、そこにいるんですか……?」

「…………、ええ…………」

「会えますか……?」

「…………会えないとは、言わないけれど…………、会わない方が、いいと思うわ…………」

「本当は……、本人確認してもらうために、ご家族を呼ぶのが筋なんだけれど…………」

「…………事情を説明し、ご遺体には会わないと決めていただきました……」

「そ、それ、って…………」

「…………どうしますか?」

「私は……、本当に、会わない方がいいと思うのですが…………」

「いろはちゃんも…………、見られたくないかもしれませんし…………」

「………………」

「………………っ……」

「だいじょうぶ、です……。会わせて、ください……。いろはは……、ウチに見られたくないものなんて、何もないはず、だから……」

「…………わかりました」
(丹が目くばせする。丹が花織の背に手を添え、二人は安置室へと入っていった)
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