名前:『wise Shark』

デモンズを31匹倒した

(ある棟の廊下に、丹はいた)

(花織の姿を見ると、丹は心配そうな顔を向ける)



「花織ちゃん……、大丈夫?」


「一応……、さっき戦闘はしたんだよ」


「え? 戦闘……!?」


(エリザが先ほどのデモンズを呼び出し、それをはなびと花織が倒したことを話す)



「まあ……、そうだったの。まだ報告を聞いていなかったわ」


「お疲れ様です、花織ちゃん、はなびちゃん。そしてサポーターの二人も。……よくやってくれました」


「そして、その話を詳しく聞きたいのはやまやまだけど……、こちらの話から進めていいかしら」


「こちらは――、いろはちゃんの死亡を確認、遺体を運んできました」


「…………っ……」


(――この棟は、安置室のある棟だ)

(丹の立っている後ろの扉……、その奥に、いろはが、いるのだろう)



「あなたたちに連絡する前に、先にご家族に連絡しました」


「ご遺体は、明日、もしくは明後日、いろはちゃんのご実家近くの葬儀場へ運ばれます。火葬は、早ければ明日の午後にでも行えるでしょうか」


「いろは…………」


「……ご家族から許可も出ましたので、この後いろはちゃんの遺体を調べます」


「……MS少女が戦死した場合、葬儀の手配、費用は全てこちらが負担します」


「ご家族の希望もあり、家族葬ではなく一般葬です」


「希望者は全員参列できますが……、どうしますか……?」


「……もしつらければ、参列しなくてもいいのよ……?」


(花織は、首を横に振る)



「出ます……。絶対、出ますっ……」


「…………私も参列していいのかな」


「ええ、いろはちゃんも喜ぶと思いますよ」


「サポーター二人も、参列はお願いしますね」


(メアリーと共に頷く)



「では、詳しい日程が決まり次第、またご連絡しますね。……いろはちゃんの葬儀が終わるまで、二人とも授業は休みでいいわ。戦闘も、どうしてもの時以外は他のMS少女にお願いしますので」


「あ、あのっ……、い、今、いろはって……、そこにいるんですか……?」


「…………、ええ…………」


「会えますか……?」


「…………会えないとは、言わないけれど…………、会わない方が、いいと思うわ…………」


「本当は……、本人確認してもらうために、ご家族を呼ぶのが筋なんだけれど…………」


「…………事情を説明し、ご遺体には会わないと決めていただきました……」


「そ、それ、って…………」


「…………どうしますか?」


「私は……、本当に、会わない方がいいと思うのですが…………」


「いろはちゃんも…………、見られたくないかもしれませんし…………」


「………………」


「………………っ……」


「だいじょうぶ、です……。会わせて、ください……。いろはは……、ウチに見られたくないものなんて、何もないはず、だから……」


「…………わかりました」


(丹が目くばせする。丹が花織の背に手を添え、二人は安置室へと入っていった)



11話2