名前:『wise Shark』

デモンズを31匹倒した

「じいにバレンタインチョコを贈りたい?」


(聞き返すエリザに頷く)



「まぁ~、ハレンチですわぁ~」


(ハレンチって……)

(じいやさんには世話になっているから、バレンタインという機会に、日頃の感謝を伝えたいのだ)



「なるほど、ギリギリってやつね」


(義理のことか)

(しかし、義理とは思われたくない)

(エリザのことは好きだ。でも、じいやさんには、エリザに対するものとは違う“好き”の気持ちがある)

(顔に熱が集中する)

(エリザは、にやにやとした笑みを浮かべた)



「じいもプレーボーイですわ」


「まぁ当然ですわね! 雪船家の執事たる者、誘惑の一つや二つできて当然ですわ」


「ところで聞きたいんですけれど……、日本のバレンタインは、お世話になった人にチョコを贈るんですの?」


「エロ恋沙汰イベントと聞きましたけれど」


(確かに恋人同士ならエロ恋沙汰イベントかもしれないし、昔は女性が好きな男性にチョコを贈るイベントだったと聞く)

(しかし、最近は、単にチョコを贈るイベントになっている気がする)

(男性から女性にあげてもいいし、自分用に買ってもいいし……)

(一年で一番チョコが売れる時期なのだ。特定の相手がいてもいなくても、チョコが好きなら、それだけで楽しいイベントではないだろうか)



「ふ~ん。ハロウィンといいクリスマスといい、日本の西洋文化はヘンですわ」


「でも、それなら出し抜けは許しませんわよ」


「ワタクシチャンサマもチョコを作りますわ!」


「ワタクシだって、じいにはいつも感謝していますもの」


「ねぇ、一緒に作りましょ!」



はい。
いいえ。
バレンタイン2023-2