帰宅途中に不意に意識が遠のき、目が覚めるとそこは船の中のようで、私は窓枠を背に眠っていた。
「……気ィついたか。
オメェが最近、銀時の周りをウロチョロしてる、○○つったか?
どうだ? 宇宙から見下ろす、江戸の街は」
拘束された私の目の前で嬉々とした、でも歪んだ笑みを浮かべる男が煙管を吸っていた。
その男は以前、江戸の街を歩いている時に見た指名手配書に書かれていた……。
「貴方は高杉、晋助……」
「……ほォ、俺のこと知ってんのか」
「……私のこと拐っても意味は無いと思うんですけど、どういうおつもりですか? 」
私がそう切り出すと、
「確かに意味はねェな。
だが、あの銀時が入れ込む女だ、ちょっと会って話しがしてみたくなァ」
と、彼は瞳をギラつかせ、口許を歪める。
「まァ、易々と返すつもりなんて、
端から無ェけどな……?」
(あぁ、どうやら私は……)
とんでもない男に捕まってしまったらしい。
◎隻眼の鬼と私
隻眼の鬼は妖しく嗤う