名前:坂田銀時

2個いちご牛乳を貢いだ


「何?お嬢さん、ウチに何か用でもあるワケ?」

不意に背後から声を掛けられ、驚いて勢いよく振り返る。

舞った髪の隙間から目に入ったのは、くるくるとした銀髪? の天然パーマで目が死んでいる赤い瞳の男性。

彼は白を基調とした波模様の着流しを右腕だけ出して着ており、その腰には洞爺湖と彫られた木刀が刺してある。

着る者を選びそうな出で立ちであるのに、その彼の風貌は釘付けになってしまいそうな程、それを着こなしていた。

まるで儚さを纏っているような、そんな人だった。

「何、どうしたの? 人のことジロジロ見て……」

(あ、いえ……! あのお店? って何と読むのかなと思って)

私は人差し指で、先程の看板を指差す。

「あぁ、あれは『よろずや ぎんちゃん』って読むんだよ。まぁ、簡単に言えば何でも屋だ。人探しから、引越しの手伝いから何でもやってる」

(そうなんですね)

「あぁ、そうだ。ちなみに一応、俺そこの社長してる坂田銀時ってんだ。何か依頼でもあったら電話くれ」

そう言うと彼、坂田銀時さんは懐から一枚の名刺を出すと私に持たせる。

(私は○○と申します。阪田さん、でしたね。もし何かあったら頼らせていただきます)

お財布の中にその名刺を入れると、私は急いでいる旨を伝え会釈をして彼に背を向けて歩き出した。

この時、私も彼も知らなかっただろう。
この出会いが自分の運命を変える出会いだったことを。

そしてある事件を機に私と銀さんは距離を縮めることになるんだけれど、これはまた別のお話。

出会い3