──斬る──
──防がれる──
これの繰り返し
速さで劣る
力で劣る
全てが通用しない
雷帝魔法も、ドラゴンクエストも、
大神降臨何もかもが、彼には通用しない
オッタル。このオラリオにて唯一無二の存在
文字通りの、最強
「…舐めるなぁ!テオザケル!!」
詠唱無しの雷帝魔法は、オッタルの全身を包み込む程の範囲と、激しい稲光からもその威力を伺わせる
──が──
文字通り腕の一振で、四散した
オッタル「……お前は俺を舐めているのか?テオザケルといったか、それは詠唱をしなければ威力が落ちる魔法だ。その状態で俺に通用すると思ったのか?」
─瞬間、○○の目の前にオッタルが現れ─
蹴りによる一撃を、放った
「が……ぁっ……!」
息が、吐き出される
呼吸が、出来ない
詠唱の為の、声が、出せない
「~~っ!!!」
咄嗟に指に魔力を込めて、二つに線を描く
それだけで、迷いの霧が立ち込めて万物の時を停滞させる
その隙に回復を──
オッタル「この程度で俺を止められると思うのか?」
───振り切れなかった
遅くはなっている、確実に
だが、それでも
相手の方が、格上なのだ
「ヘイスト!スロウ!!」
オッタル「…!」
スロウはレベル差もあって通用しない可能性があるが、ヘイストは違う
自分に強化をかけ、少しでも戦力差を埋める
「ブレイブ…フェイス…」
腕力強化魔法と、知力強化魔法を重ね掛け、オッタルにダメージを与える準備を整える
普段の彼ならそのような隙は見せないが…惑いの霧の前では多少は猶予はある
左手に杖を構え、エルデの魔術を展開する
カーリアの速剣、通常ではありえない魔力による剣。それは右手に剣を持った今の状態と合わせて、擬似的な二刀流を生み出した
速さで劣る、力で劣る
ならば、手数を増やす…それは自分にしか無い武器だ
全ての冒険者の中でも圧倒的な手数
豊富な選択肢から取捨選択を強要する
エルデの魔術か、雷帝魔法か、それとも別の何かか、はたまた純粋な剣技か…
豊富な選択肢というのは、それだけで相手に思考を強要するのだ
故に、大抵の相手は○○の手を読み切れずに敗北するし、例え対応できたとしても、その手段に対応するための行動をとらなければならないだろう。
─本来ならば
○○と退治しているのはオッタル。都市最強
下手な手段は全て、力によってねじ伏せられる……それがレベルの差というものだ。
…だが、○○は知っている
時にはその手数が、レベルの差を覆す事を
──「いいですか、○○様…今回の相手はフレイア・ファミリア。圧倒的な格上です、いくら○○様でも無強化無しでは勝ち目はありませんが、幸いにも条件は揃っています、上手く戦闘中にドローが出来れば…そのためにも先ずは」──
脳裏に頼りになる作戦立案者の声が繰り返される。
「常に相手の想定以上の事をする…!」
そうして○○は、カーリアの速剣を横に振るった
オッタルはその直後に動く。あの○○がそのような無意味な行動を取り、隙を見せることは無いと
かの地で何度も立ち上がり、戦い抜いた彼を知ってるが故の行動
──それが、仇となった
オッタル「っ!!!」
──一閃
本来ならば魔力を込めた指で行う行為を
魔力で出来た剣で行った
もしもその軌跡の色を見ることが出来れば、普段の色は墨のような漆黒の色で線を描くのに対して
この一筆は…金色色に輝いていただろう
オッタル「おおおおおおおおおおお!!!!!」
一度の斬撃ではなく、複数の斬撃
それぞれが鋼鉄をも切り裂く斬撃
更に強化魔法で威力が増強された連続攻撃
流石のオッタルも対応せざるをえなかった
そして、それは
─明確な、隙となった
「取った、ドロー」
オッタルの体から何かが○○に向かって流れていく
それは見るものが見たら分る軌跡
現在神の鏡で見ている大多数は知らないもの
そしてそこから放たれるのは
「アルテマ」
究極の魔法である
大爆発
エネルギーの本流がオッタルを襲った
逃げ場はない
逃れることは不可能
究極の一撃が彼を襲う
少なくとも、多少は効いたはず
そう、思いたかった

オッタル「○○っ!!!!!」
直後、煙の中から一人の男が肉薄する
傷付き、確実にダメージを負ったであろう姿になりつつも
よくぞここまで成長したと言わんばかりに、獰猛な笑みを浮かべながら斬りかかってくる
「チィ…!ちょっとはこたえろよな!どんだけタフなんだ…よっ!!」
連撃、連撃、連撃
ヘイストによる加速でようやくついていけるか、いけないかの速度
「グ…ソルド・ザケルガ!!」
たまらず手札の一つを切らざるを得なかった
カーリアの速剣…否、それは先程よりも巨大で、冷気が纏わられている
アデューラ月の剣と呼ばれるカーリアの魔術、それにソルド・ザケルガの力を混ぜ合わせた、文字通りの切り札の一つ
「オッタルゥゥゥゥゥ!!!!」
それを横なぎに、払う
オッタル「○○…!それでこそだ…!」
オッタルもまた、対応する
そして、二つの剣が
激しい音と共にぶつかり合った
鐘楼の音は、未だ響かない