この触手だ。
獲物に絡みついて拘束するためだけの器官で、消化する能力はないから安心しなさい。私は大丈夫だ。
(とても大丈夫には見えない……)この触手もそんなに強い力は出ないし、長さも長いってわけじゃない。卵を産みつけるのは鹿や熊みたいな、それなりの大きさの生き物なんだが……
全身を縛り上げるなんてのはできない。そのくらいの優しい力なんだよ。
(少し早口になって、とても興奮して解説を続けている……本当に大丈夫だろうか?変な気に当てられているのでは……?)それでね、それでね!この白いベタベタがコイツの秘密兵器ってワケなのさ!
さっきも言ったが、これには消化する能力はない。
服が溶けたり、肌が荒れたりする心配はないんだ。
じゃあ、何が凄いか……
これが、とっても美味しいんだ!
なんだろう……一番近いのは、とっても甘い黄桃、かな。とてもフルーティーなんだよ。香りがするだろう?
これを獲物に与えて、夢中になっている間に卵を産みつけるんだよ。とても平和的なモンスターだろう?
ああ、だけど、私は卵を産みつける場所を持たないから問題ないが、君は危険な目に遭うかも知れないね。近づかない方がいいよ。
卵はすぐに身体から出てくるから害はないが……気持ち悪いだろう?精神衛生上良くない。
…………ふふ、ああ、満足だ。
少し絞って持って帰ろう。少し塩を混ぜればサラサラに変わるから、いろんな料理にも使えるんだよ。
(これが料理に入っているのか……)森アザラシの粘液ゲットだ!ラッキーだったね。
君と遊びに来てよかった。もしかしたら、私たちはとても良い狩りのパートナーになれるかもな。
さあ、パーティに戻ろう!
これで美味しいムースを作ってあげるよ!
(なんで全く動じないんだ……)◆パーティを続ける