荷物玄関先に置いておくように指定してあったから、きちんと顔を見たことがないんだ。
長い間勤めてくれた……と、思う。本当に顔を見ていないから、代替わりしていても気が付かなかっただろうな。
種族は何だったかな。トカゲではなかった。
うーん……ああ、そうだ、そらとかげ!
ここの担当になる前に前の担当から引き継ぎをしただろう?全く守っていないようだが……。
どんな奴だったか教えてはくれないだろうか。
え、ええーっと、その……
ボクも、顔はよく知らなくて……。 何故だ?直接会ったのだろう?
はい!会って、たくさんお話を聞かせてはいただきました!荷物を玄関先に置くだけでいいからとても楽な案件ともお聞きしていましたし!
……でも、その……顔っていわれると……。 どうした?言い辛いような容姿だったのか?
足の爪と、手首から先くらいしか知らないんです。
とても素敵なネイルでした!ボクの爪もあんな風にできたらいいだろうなっていつも思っていたんですよー! ネイルの話はともかくとして……。
どうして顔を覚えていないんだ?……覚えていないのではなく、知らない、と言ったか。何だ、顔を隠していたのか?
違いますよー。
あはは!本当に覚えていないんですね! 馬鹿にしているな?
しっ、してませんよっ!!
前の担当のヒトは、巨人さんだったんです、それで、ボク、お顔を見てお話しようとは思っていたのですが、どうしても見えなくて。
それで、お顔を見たことがないんです。……あ、声は女性っぽかったですよ!あはは!本当に覚えないんですね! 二度も言ったな?
馬鹿にしているよな、これ……。
そ、そ、そんなことないですよー!
ささ、お茶が冷めてしまいますよっ!あー!このクッキーとても美味しいです!えへへ、パーティ、楽しいですね!お誘いいただいて、ありがとうございますー!! パーティが終わったらすぐに叩き出してやる。
ひ、ひえー! ◆おしゃべりを続ける