(まず初めに獣の咆哮。そして風を切る音。)
(───少し遅れて、重量を持った何かが崩れ落ちる音。)
(今日も幾度目かの討伐に出ている。)
(前線で斎藤一は剣を振るっていた。
一閃、二閃。剣撃を繰り返す様子を遠くから眺めるも、相変わらずその剣筋は目で追えない。)
(まるで相手が自ずと自壊しているような錯覚すら覚える。
───何度見てもそうだ。サーヴァントの戦闘は現実離れしている。)
(そんな魔法じみた光景を眺めること数十秒。)
(血振りをして斎藤が刀を納める。どうやら殲滅は完了したらしい。)

はーい、終わり終わり。
いやあ、
一ちゃん大金星ってね。
マスターちゃんもご無事そうでなにより。……さあさあ、帰りましょうや。
(いつも通りヘラヘラと軽薄に笑うその様子からは先程の戦闘の凄惨さが微塵も感じられない…)
『
すっ…ごかった…』