……成程、このような影響が出てしまったか…メリナ、彼の状態は?

……酷いわね、この状態じゃ赤子と何ら変わりないわ。
このままでは…今後の生活すら厳しくなる程よ
「そうか…まさか別世界と混じりあってしまうとはな、私の選択に赤の他人を巻き込む事になろうとは…情けないな」
メリナ「…彼、どうするの?」
「そうだな…とりあえず近くの病院に連れていこうか…一応彼の状況を詳しく知る必要もあるな…ラニ、いるかい?」
ラニ「呼んだか?……ほう、これは……成程興味深い、私達の世界の因果がこの世界の因果と交差した結果らしいな。彼自身他の人間と違う雰囲気を持っている…その影響で、本来彼が起こり得る自体が今起こってしまったらしいな」
「ほう?つまり彼はここまで酷い記憶喪失になる運命であった…そういう事か?」
ラニ「あぁ…何の因果かは知らないが、彼は本来出会うことの無かった人物と出会い、行動を共にした結果、記憶を失う事は無かった…だが因果が交じった事で彼本来の運命の流れに戻ったという訳だな。
分かりやすく言えば、本来ならこの時間軸に居るはずの人間が、急に未来にいる事になり、何らかの原因で本来いる時間軸に戻った事で本来の運命が彼に降り注いだ…そういうわけだな。その影響か記憶喪失になってしまう原因が本来の流れとは違うようだが…それは世界の修正力という奴かもしれないな」
メリナ「……解説終わったならどっか行けメリ、お前はもう用済みメリ」
ラニ「は?これだからメリカスは…我が王に付きまとうなと何度言わせれば分かる?」
「二人共、喧嘩はそこまでにして欲しいな…とはいえ彼をこのままにしておく訳にはいかないな。近くの病院まで連れていこうか…それと、一応鎧は脱いでおこうか」
⏰⏰⏰
春信「彼を保護して下さり、ありがとうございます…ところで、貴方方はいったい…?」
「ただの通りすがりですよ…ただならない雰囲気だった物で、放っておけなかっただけです。無事なら良かった」
春信「無事……無事、か……はぁ、夏凜になんて言えば…」
「夏凜?」
春信「妹です、彼の友人で……その、彼ととても仲が良いんですよ」
「そうですか…」
春信「兎に角ありがとうございます、このお礼は後程お送りさせて頂きたいので、差し支えなければ連絡先を教えて下さると…」
「お礼なんてとんでもないですよ、私も少々急ぐ身なので…それでは」
⏰⏰⏰

あれぇ?ここ部室…だよね?それじゃあ神樹様の試練は終わったって事で良いのかなぁ?
美森「そういう認識で良い……○○君?○○君は何処?」
友奈「あ、あれ!?○○君がいないよ!?」
銀「そ、それじゃあ本当に、赤嶺が言ってた事って本当だったのか…?」
樹「嘘……」
夏凜「……大丈夫よ、アイツはちゃんとこの世界に居るわ、今兄貴から連絡あった…○○、あの病院にいるって」
風「な、何よ!ちゃんといるじゃない!まったく心配させて……はぁ……良かった……」
夏凜「……………」
園子「うぁ〜、なんかどっと力抜けたんよ〜、でもなんで病院にいるの?」
友奈「確かに気になるなぁ……あれ?
どうしたの夏凜ちゃん、そんな難しい顔をして」
夏凜「……………みんな、落ち着いて聞いて」
夏凜「アイツ、記憶喪失らしいわ…それも重度の。散華の代償じゃない…正真正銘の記憶喪失よ」