─今でも時々夢を見る─
─どうして最初から、あの人を信じられなかったのだろうか?と─
─確かに最初のあの人は、大人というよりは子供っぽくて、アビドスを助けに来たという事を信じきれず、危なくなったら逃げるんだろうなと思った─
─大人なんて、信じられない……どうせこの人も同じだ─




──戻れるなら、先生みたいに記憶を宿したまま戻れたのなら、今すぐ過去の自分を殴ってでも考えを改めさせたい。あの人があそこまで摩耗した原因の一つは、間違いなく私なのだから──

─今でも思い出してしまう。セリカちゃんの代わりに拐われた後の彼の末路を─
─便利屋の行動を止める為に行った結果、独断行動した風紀委員から便利屋を庇った結果の彼の末路を─
─カイザーから私達を逃がす為に残り、増援が間に合わなかった時の末路を─

─それだけじゃない、その後も、何度も失敗して、失敗して、失敗して─

─その度に、私はなんでアビドスの事が一段落した後もずっとあの人に着いていかなかったんだと、全部の記憶を取り戻した時に思ったんだと─

─文字通り命を犠牲にして、二人の生徒を救ったと知った。死んじゃったら意味ないじゃん─

─ニュースで見た、自分を守る力を使ってまでミサイルの爆撃から生徒を守って、死亡したと。なんで私はそこにいなかったのかな─

─カイザーの襲撃を受けて、他の生徒を守って死んだと。どうして大人は私の大切な人を奪っていくんだろう─

─あのシロコちゃんがいた時も、あの人は大人のカードを使って私達を治す人や匿う人を呼び出して、助けてくれた。その結果自分の時間も身体も何もかもを対価にして、最後はあれに呑まれた─

─そんな道を辿って、辿ってたどり着いたのが、この結果?─

─認めるものか、そんな物語─

─だから私は、追いかけてきたんだ。大人にならざるを得なかった彼を、あの大人にしない為に─
─生徒の為に自分の命を平気で捨てる大人になんか、させないために─
─ねぇ、もしも……もしもあの人がなろうとした大人が本当にいたのなら、あの人も助けてよ。だって…あの人は救われるべき人なんだよ─
─……でもそんな人は居ないなら……だから私がどんな手段を使っても、私が彼を救う。救うんだ─














………

どうしたの?○○君

【あなたはホシノに何か嫌な事でもあったかを聞いた】

……うへ、そんな事無いよ〜
ちょーっと決意表明?みたいな事してただけだからさ〜
○○君は、気にしなくて良いからね〜
ホシノの絶望