マークスの懇願を聞き入れず
思いきり首に力を込める


器官が圧迫され息ができない


脳に酸素が行き渡らなくなり
身体の力が抜けていく


視界がぼやけ、もはや目の前のマークスの輪郭も定まらない状態だが、彼がどんな顔をしているのかは容易に想像できた


困惑と悲痛と苦悶に満ちた、そんな顔だろう


何を考えているのだろう
慕ってくれている彼にそうさせているのは
他でもない己自身だと言うのに



ーそろそろ、限界が近い…



手に込められていた力は
最後まで続くことはなく次第に緩み

添えられただけのマークスの手は
あっけなく抜け落ちた


視界が歪む
急速な酸素が肺へ送り込まれ噎せ返る


自立できなくなった身体は
地面に投げ出される前に受け止められた



その腕は酷く震えていた

手を離さない