(オンボロ寮へ戻ろうと歩いていたら、不意に雨がぱらぱらと降ってきた。このまま小雨のままなら何とか……と思っていたものの、雨はどんどん本降りになってしまって、慌てて雨を凌げるところに避難する。他にも外を歩く生徒は居たけど、折り畳み傘を取り出す人、魔法で雨を弾く人、気にせず走っていく人……と様々だ。
……生憎と傘は持っていないし、魔法は使えない。ひとまずはここで雨足が弱くなるまで待つことにしよう……と思っていたら、名前を呼ばれた。声のしたほうを見れば、そこには髪が少し濡れているジェイドが居るのがわかった)
こんにちは。……もしかして雨宿りですか?
奇遇ですね。僕もです。
今日は雨は降らないと聞いていたので、傘の持ち合わせが無くて……あれば、あなたにお貸し出来たのですが。
(言いながら、ジェイドはジャケットを脱いで付着していた雨粒を払うとこちらの肩にかけてきた)
まだそこまで濡れていないので良ければ着ていてください。
風邪を引いてはいけませんから。
……すぐに止むといいですね。
(そう言うとジェイドはこちらを見ていた目をすっと外へ向けた。……地面を打ち付ける雨粒が跳ねて、時折足元を濡らしていく。
……しばらく止みそうにない。と、思った時、まるでそう考えていたことを見透かしたみたいにジェイドが「もし」と声を上げた)
もし、このまま止みそうになければ、誰か……リドルさんかトレイさんにでも連絡をして、迎えを頼みましょう。
それまではもう少し、このまま待っていてくれませんか。
(雨音に紛れて囁くように言うジェイドは、ふとこちらを向いて、少しだけ目を細めた)
……ふふ。
風邪を引いてはいけないと言っておきながら、この場に留めようとするなんて、わがままでしたね。
すみません。すぐに迎えを頼みましょう。
僕はともかく、あなたが体調を崩すと心配する人が多そうだ。
(ジェイドはスラックスのポケットからスマホを出して、何か操作を始めた。……言った通り、誰か……恐らくはリドルかトレイ辺りに……迎えを頼んでいるのかもしれない)