(来訪を知らせる音に気付いて誰が来たのかを確認するとジェイドだったので、どうかしたのかと扉を開いて迎えた。すると、ジェイドは微かに目を見開いて自身の寮服のストールを引き抜いてこちらにふわりと掛けてきた)
……こんにちは、監督生さん。お休み中のところをすみません。
その、突然押しかけてしまった僕が悪いんですけど、出迎えるには少し薄着過ぎるように思います。
せめて上に一枚、カーディガンか何かを着てからのほうがいいかと。
男に肌をじろじろと見られるのは気分のいいものじゃないでしょう。
……今日はラウンジで新しいメニューを出し合っていたんですけど、その試作品のケーキが余ったので……捨てるよりはと思って。
量はあまりありませんけど、グリムくんと一緒に召し上がってください。
良ければ後日、感想を聞かせてください。
……ストールはその時に返してくれればいいので。
(小さな箱を手渡してきたジェイドはハットを少し深く被り直してから会釈をして、それでは、と踵を返した)