アラームが鳴っている。
起きて支度をしないと……と思い、身体を起こす。一緒に寝ている親分のことも起こさないと、と手を動かすけど、いつも傍で丸まっている温もりが無い。
もしかして珍しく先に起きたのかな。そういう日もあるかもしれない。
ぐっと背伸びをしてからベッドを降りる。
…………?
見慣れた景色じゃない。……いや、見慣れた部屋ではある。あるけど、ここは、いつものオンボロ寮の部屋とは違う〝自分の部屋〟だ。 もしかして、と窓の傍に寄って、カーテンと窓を開ける。向こうに見えるのはツイステッドワンダーランドの、ナイトレイブンカレッジの景色じゃない。 いつも朝に声を掛けてくれるゴーストも居ない。
ここにはきっと、魔法なんて存在しない。
魔法も、獣人も、妖精も、──人魚も。 外から流れ込む風は薄らと冷たくて、頬と耳元を撫でて通り過ぎていく。 ──────あれ。 ……何を考えていたんだっけ。 「〝監督生〟さん」
誰かの呼ぶ声がしたような気がする。けど、誰だろう。聞き覚えの無い声……なのに、妙に耳に馴染む。 ちゃり、と何かが擦れるような音がする。
「〝監督生〟さん」
微かに波の音がして、鼻の先を潮の匂いが混じった風が通り抜けていく。 ────だれ?「──
子分!!」