……随分と情熱的な口説き文句ですね。
いけませんよ。そんなことを軽々しく口にしては。
真に受けてしまったらどうするんです?
(瞳を細めるジェイドは靴音を鳴らして近寄ると、こちらの頬をあっさりと片手で掴んで、顔をぐい、と上向かせてきた。互いの鼻先が触れそうなほどの距離でジェイドは吐息で笑う)
番いというのは陸で言う恋人とは違います。
気が合わなかったから別れるとか、お試しで付き合うとか、そもそも遊びだとか……そういうぬるい繋がりとはわけが違う。
今生のすべてを、ひいては来世でさえも互いのものとして交わす、強固な契約です。
交わした契約に違反すればどうなるか、あなたはよおく知っているでしょう?
(いつもより低くて潜めた声だ。ピアスの揺れる音がして、ジェイドの黒い髪の先が頬をかすめていく)
……ですから、どうかその言葉は慎んでください。
僕だけでなく、その気になればあなたを好きなようにできる男なんていくらでも居るんですから。
(そう言うと、ジェイドはパッと手を離して静かに離れていった)
あなたはもう少し自分を大切にする、ということを覚えたほうがいいですね。